TOP よみもの 連載 「藺草」読める?ごろんとすると、気持ちいい!魅力的な家づくりの素材

「藺草」読める?ごろんとすると、気持ちいい!魅力的な家づくりの素材

藺草という2文字を見て、「草という字があるから植物だな!」と思った人、正解です。以前の家では必ずありましたが、最近の家では活躍の場が減少気味。でも、この上でごろんとすると、気持ちいい!とても魅力的な素材です。さて何と読むでしょう?

俳句では夏の季語。稲と同じように水田で育つ

藺草の栽培

まず、藺草がどういう植物か説明しましょう。湿地や浅い水中に生える多年草です。泥に根を下ろすという意味では稲と同じですね。

姿は少し変わっていて生えている様子はちょっと異様。先の尖った細い茎が束になったようです。

栽培の仕方も似ています。夏場に苗床で苗を育て、11月から12月にかけて稲と同じように水田に植え替えて栽培します。そして、翌年の真夏日、猛暑日続出の7月下旬頃に刈り取られます。このことから俳句の世界では、「藺草」は夏の季語になっています。

そして、刈り取ったものは、せっかく青々としているのに、天然染土を使って泥染めされます。これには、色や香り、光沢を出すためのコーティング。そのあと均一に乾燥させるためにも重要な、古来からの知恵なのです。

畳表として活躍。ただ近年は生産量が激減

畳の張り替え

正解は「いぐさ」です。

日本では、そのほとんどが熊本県で生産されています。

藺草は、約1年かけて収穫され、泥染め、乾燥されたあとは、麻や綿の糸を経糸(たていと)にして、畳表に織り上げられます。そうです!和室の畳の表面に使われているのが藺草なのです。

最近は和室のないフローリングだけの家が増えています。

実際、農林水産省の統計を見てみると、今から25年前の平成10年(1998年)には、国内の畳表生産量は2694万枚でした。それが昨年、令和4年(2022年)には165万枚と、なんと94%も減ってしまったことが分かります。

要因として外国からの輸入に押されたこともありますが、合わせた数で見ても5分の1程度にまで減少しています。

しかし最近は、和風のモダンなインテリアの楽しみ方のひとつとして、フローリングに置くタイプの畳に注目が集まっています。

また、減っているとはいえ、LDKの一角に小上がりの和室スペースをつくる間取りも根強い人気。客間や子どもの遊び場スペースとしてや、熱を出したときの看護するスペースとしてなど、さまざまな使い方ができるからです。

藺草特有のリラックスさせてくれる匂い。ごろんと寝転がったときの気持ちのいい肌触り。藺草を取り込んだ家づくり。検討してみてはいかがでしょう。

写真:PXSTA

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書き手:鈴懸

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