TOP よみもの 連載 「木栓」読める?キッチンや子ども部屋の床材にも使われる、エコな素材

「木栓」読める?キッチンや子ども部屋の床材にも使われる、エコな素材

木という漢字と、「お風呂の栓をする」なんて使い方をする、穴や器の口などをふさぐ「栓」。普通に読めば、「もくせん」とか「きせん」とか読めそうですが…違います。家づくりでも、キッチンや子ども部屋の床に敷いたり、断熱材や防音材として使われたりすることも。さて何と読むでしょう?

ポルトガルとスペインで約8割生産される

コルク樫

まずは木栓のプロフィールから。

正体はある木の樹皮です。樹齢20年で、幹が20㎝ほどになると、最初の剥皮を行い、出荷されます。その後も9年周期で再生された皮を剥いで出荷。樹齢250年くらいまでは収穫が可能といわれています。

おもな生産地はポルトガル。なんと世界の生産量の約半分を生産しています。さらに第2位の生産国のスペインの生産量を足すと約8割に。

コルクの栓

日本には、海外から洋酒の栓として持ち込まれました。木栓で栓をすることで、液体が漏れないことに注目し、目薬ビンの栓として活用されたのが始まりといわれています。液体を入れたビンの栓として、広く使われていくようになりました。

「木栓」という字があてられたのは、この使い方から来ています。

発泡プラスチックみたいなもの!?

発泡スチロール

Wikipediaの「木栓」を見ると「発泡プラスチックのように多孔質で、弾力性があり水をほとんど通さないが、通気性はわずかにあり、保温性に優れている。天然ゴムが広く知られるまで、欧米圏における緩衝材や密閉材として重要なものであった」とあります。

コルクの表面

これを見て、発泡スチロールみたいと言われてもピンとこないかもしれませんが、小さな穴がたくさん空いていることで、弾力性があること、触ってみるとほんのり温かいことは、たしかに似ています。

コルクボード

ピンを刺してもほとんど跡が残らないので、メモや写真をピン留めするボードなどにも使われています。ひょっとしたら、家のどこかにあるかもしれません。

この特性が、建材としても注目され、現代の家でもいろいろなとことで使われています。

キッチンや子ども部屋の床に向いている建材

ワインのコルク栓

正解は「コルク」です。

ある木の樹皮といいましたが、その木の名前は「コルク樫」です。

コルクタイルのリビング

家づくりで、いちばんポピュラーなのは「コルクタイル」。木栓を圧縮加工し、その上にウレタン樹脂、特殊樹脂ワックス、天然オイル等を塗布した建材です。タイル状に並べて、床材として使われることが多いです。

例えば、キッチンの床。クッション材のような柔らかい素材なので、フローリングと比べて、食器を落としても割れることは少ないですし、床がへこむこともありません。長い時間立ち仕事をしていても足が疲れにくいというメリットも。保温性があるので、冷え性の人にはもってこいの床材です。

コルクシートとオモチャ

また、防音性が高いので子ども部屋の床にも向いています。ドタドタ走り回っても、下の階にあまり音が響きません。柔らかいから転んでも安心。それ以外にも、音楽室の吸音材や断熱材として使われることも。

何度も再生される樹皮が原料なので、伐採された木材と比べると、とても環境に優しいな素材といえます。家づくりで、取り入れてみてはいかがでしょう。

画像/PIXTA(漢字画像を除く)

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書き手:鈴懸

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