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古くは七輪の素材として使われてきた馴染みのある素材

七輪といっても、見たことのない人もいると思いますので、写真で紹介。炭火をおこしたり、魚を焼いたりするのに使われた土製のコンロです。ガスコンロが登場するまでは、一般家庭でごく普通に使われてきました。
実はこの七輪、珪藻土でつくられているんです。ですから、日本人にとっては昔から馴染みのある素材。
大昔に生息していた微生物が化石になったものが珪藻土

そもそも何でできているかというと、大昔に生息していた珪藻という微生物。今も淡水や海水に広く分布し、光合成を行っいる藻の仲間です。

この珪藻が海や沼で大量に発生し、死滅したものが水の底にたまり、有機物が分解され、殻だけが化石(岩石)になったものが「珪藻土」というわけです。
まさに「ザ・自然素材」。珪藻の殻には、小さな穴がたくさん空いているので、とても軽く、フィルターのような役割をしてくれます。さらに、住宅建材として魅力的な以下の2つの特徴があります。
- 調湿性がある
湿度が高くてムシムシするときは湿気を吸ってくれ、カラッと乾燥した冬場などは水分を放出。湿度を調節してくれる - 脱臭性がある
タバコやペットの嫌なニオイを湿気とともに吸着。室内の空気を清浄にしてくれる
珪藻土はノーベル賞誕生の立役者!?

正解は「けいそうど」です。
珪藻土は、和モダンテイストの家づくりで、趣のある土壁材として人気です。木床や建具との相性もよく、落ち着いた佇まいを醸し出してくれるからです。

さらに、その特徴である調湿性と脱臭性が、四季を通じて部屋の湿度を整えてくれ、清浄な空気を保ってくれることも人気の理由です。その性質を生かし、最近はバスマットやコースターとしても使われるように。

これだけ暮らしに役立っている珪藻土。以外に思われるかもしれませんが、ノーベル賞とも深い関係があります。
ノーベル賞の父・アルフレッド・ノーベルは、わずかな振動でも爆発するニトログリセリンを、この珪藻土に吸着させることで安全化させた「ダイナマイト」を発明しました。当初は土木工事の効率化に役立てられていましたが、その破壊力はすぐに戦争でも使われるように。
発明により巨万の富を得たノーベルですが、死後も「死の商人」とも言われ続けることを本意ではないと、遺言で財産を基金にして誕生したのがノーベル賞というわけです。
画像/PIXTA(漢字画像を除く)