春に若葉が出ると、それを見届けて古い葉が落ちる不思議な木

この木、一年中葉を茂らせている常緑樹です。でも、ずっと同じ葉が頑張っているわけではありません。
よく見ていると、春になり枝先から若葉が出でてきます。そして、前の年の葉が役目を終えて、後進に場所を譲るかのように落葉します。

その生態から、花言葉は「世代交代」「譲渡」。家が代々栄え、親から子へ無事に代替わりが行われるようにと願いを込めて、庭木として植えられてきました。昔から縁起のよい木と考えられてきた木です。

また、葉っぱの軸の部分が赤く、裏側が白っぽいことから紅白を連想させ、おめでたい正月の木ともいわれています。
常緑樹で葉が厚いことから防火樹としても活躍!

正解は「ゆずりは」です。
楪は、ユズリハ科ユズリハ属の常緑高木。秋になると葉を落としてしまう落葉樹とは違い、乾燥した冬場でも青い葉を茂らせます。この特性に目をつけ、日本では古来、火災が起こった際に火災の延焼を防いでくれる「防火樹」としても親しまれてきました。

常緑樹のなかでも、楪が防火樹として好まれてきたのには理由があります。幹がまっすぐに伸びる高木であること。虫が付きにくく、メンテナンスも楽なこと。でも、それだけではなくて、大事なことがもうひとつあります。それは葉が肉厚で水分を含んでいるので、葉の薄いほかの木に比べると防火能力が高いということ。
葉が、世代交代、子孫繁栄だけでなく、建物まで守ってくれる木。ぜひこの機会に「楪」の読み方を覚えてください。
画像/PIXTA(漢字画像を除く)