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家づくりの最初に行う重要な儀式「地鎮祭」

住宅地を歩いていて、きれいにならされた土地に地鎮祭の準備で、4本の竹が立てられ、しめ縄が張られている光景を見たことがあると思います。
念願のマイホーム、多くの建主は工事が始まる前に地鎮祭を執り行います。この「地鎮祭」は、家を建てるその土地を守ってくれている氏神様に、家を建て住むことを許可してもらう、昔からとても大事な儀式と考えられてきました。

そして、これから始まる工事の安全を祈り、住む人の繁栄を願うという意味もあります。必ずやらなければいけない訳ではありませんが、建主が大工さんたちに「これからよろしくお願いします」という気持ちを伝えるよい機会です。
また、現場を担当する大工さんたちも、参列することで「さあ、頑張っていい家を建てよう!」と気合いが入る儀式でもあります。ですから、できることならぜひ、執り行いたい儀式です。
「地鎮祭」のメインイベントで登場するもの
地鎮祭当日の流れをざっくりと紹介しましょう。

まず、神主さんが入場しお供え物と参列者を祓い清めます。そして、氏神様を招き、奉献酒とお水、お供え物を差し上げ、氏神様に安全祈願の祝詞(のりと)を上げます。

そしてしめ縄で囲った四方にお米と塩をまき、土地を清めます。ここまでが、舞台でいうと第一幕。

次はいよいよ地鎮祭のメインイベント「地鎮の儀」です。
祭壇の前に盛られた「斎砂(いみずな)」に建主が「エイ、エイ、エイ」と掛け声とともに斎鍬で砂を崩す動作を行います。このとき手にするのが、今回の難読漢字「斎鍬」です。
地鎮祭が終わればいよいよ工事開始

正解は「いみくわ」です。
今は耕運機で畑を耕すことが多いですが、農具としての「鍬(くわ)」を見たことがあるかと思います。この「鍬」、昔は、家を建てるときに、土地をならす道具としても使われていました。
そこから地鎮祭でも、工事が始まることを意味する象徴ととして、使われるようになったといわれています。
最近の地鎮の儀は鍬のみで執り行われるケースが多いですが、地域によっては鎌(かま)や鋤(すき)も使い、儀式が執り行われることもあります。ですから、工事を依頼する工務店に相談して準備を進めるといいでしょう。

そして、地鎮の儀が無事終了したら、神前に玉串を捧げ、工事の無事安全を祈念。
そして供え物を下げて、氏神様をお送りします。氏神様がお帰りになったら、関係者で御神酒で乾杯、お供え物を食する「直会(なおらい)」。

最近は、車で来ている人も多いことと、コロナ禍で、用意していたお弁当とお酒を配って終了というケースも増えているようです。また、ホテルやレストランに移動して行うこともあります。
斎鍬を手にすることは、人生でもまれなこと。きっと新しい家での生活が始まった後も、いい思い出として残るはず。この貴重な体験をしてはいかがでしょうか。
画像/PIXTA(漢字画像を除く)