昔からいいアイデアが浮かぶ3つの場所のひとつ

「作文三上」という四文字熟語があります。中国、北宋の時代の政治家で文書家としても名をはせた欧陽脩という人の言葉です。
意味は、文章の構想を練るのに適した場所が3つあるという意味。この3つの場所というのが、馬上(乗り物に乗っているとき)、枕上(布団で寝ているとき)そして、厠上(トイレに入っているとき)だと書いています。

トイレに入っているときに、いいアイデアが思いついたり、忘れていたことを思い出したりした経験ありますよね。
昔の家では家の中にはなかった。だからこう読むのかも!?

正解は「かわや」です。
今で言う「トイレ」のこと。おそば屋さんや古民家レストランなどで、トイレに行くと戸に「厠」の文字が書かれていることありますね。
でもなぜ「かわや」と読むのでしょう?それには2つの説があります。

厠の「厂」は、切り取られた崖(がけ)を意味する象形文字ですが、家を表す漢字にも多く使われています。
ということで、1つ目は「厂」を家に見立てたという説。「厂」に入っている則は、側(そば)、傍らの意味。ということで、家の側(そば・がわ)に設けられた小屋から来たというわけです。
昔の家では、トイレは母屋から独立させて、側に建てることが一般的だったので、「側屋(かわや)」というのもうなずけます。

2目目の説は「川」に関係するというもの。『古事記』には、水の流れる崖や溝の上に設けたことが記されており、川の上に掛けられた屋の意味から「川屋」→「かわや」という読みになったという説です。
どちらかが正解で片方が不正解ということではなく、それぞれの場所にあったのが昔のトイレ、「厠」だと言っていいでしょう。
今はすぐ近くにある存在。少しぐらいなら、我慢していてもあわてなくてすみますね。
画像/PIXTA(漢字画像を除く)