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昔話に登場する桃太郎のおじいさんは樵だったかも!?

「むかし、むかし、ある所におじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました…」
誰もが知っている昔話「桃太郎」の出だしの部分です。

「しば刈り」は庭の芝生を手入れする「芝刈り」ではなく「柴刈り」のこと。低木を刈ったり、枯れ枝をたきぎとして利用するために拾い集めたりして、山の手入れをすることを柴刈りと言いました。

桃太郎のお爺さんは、専業でやっていたかは分かりませんが、柴刈りや家を建てるときに使う木材を伐採して生計を立てていた人を「樵」と言います。
北島三郎さんの「与作」は多分100%樵でしょう!

正解は「きこり」です。
「大辞泉」で調べると「山林の木を切り出すこと。また、それを職業とする人」とあります。ということは、北島三郎さんが紅白歌合戦でも熱唱した与作さんも樵ですね。
今日では樵という言い方はしなくなり、伐採業者とか、林業従事者と言った言い方が一般的です。
なぜ、木を切る人を「きこり」と読んだかですが…。これは、中学時代のころ国語で習った動詞の活用に関係があるようです。
日本国語大辞典を見ると「木伐(こ)る」の意。ラ行4段活用動詞と書いてあります。
ラ行だから未然・連用・終止・未然・仮定・命令が「ら・り・る・る・れ・れ」。この連用形の「きこり」が名詞になったのが「樵」ということのようです。
樵が伐採した木はその後、どうなる?

成長して十分な太さになった立木を現代の樵(林業関係者)が伐採すると「玉切り(運搬しやすく、利用しやすい長さ)にして、原木市場や製材工場に運搬されます。その後は、以下のような流れになします。
●製材・乾燥

丸太の皮をむき、板や角材に加工します(粗挽き)。加工されたたら、次は乾燥。木材は、含水率が高いので、この工程をちゃんとやらないと、反りや割れが出る原因になります。
●寸法仕上げ加工・出荷

しっかり乾燥を終えたら、専用の機械で、均一の寸法に裁断され、木材卸業者や、工務店などに出荷されます。
●家づくりの躯体、壁材・床材に

工務店が買い付けた木材は、建築現場に運び込まれ、柱や壁などに使用され、家が完成します。
家をつくる木材。それはさかのぼれば、樵(林業関係者)が山で切った木です。そして、これから暮らす家に使われる木が、たくさんの人を介して、ここまでたどりついたことを思うと、ちょっと感動しませんか。
画像/PIXTA(漢字画像を除く)