なんと、ギリシャ型とローマ型の2つののタイプがある道具

その歴史はギリシャ、ローマ時代にまでさかのぼります。古代ギリシャで羊毛を刈り取るために、一枚の金属板をU字形に曲げて刃と刃が合うタイプが誕生しました。これはギリシャ型と言います。お裁縫箱に入っている握り鋏(和鋏)がこのタイプ。
また2枚の金属板をX字形にびょうで留めたタイプをローマ型と言い、これは帝政ローマ時代に鉛や針金の切断に使われていたと言われています。

そんな昔からあった鋏。今の暮らしのなかでも大活躍。髪を切ったり、植木のせん定をしたり、調理の下準備に使ったりと、もうなくてはならない存在に。

誰が鬼をやるか決めたりするときにやるじゃんけん。ここにも鋏は登場します。紙は切れるからパーには勝利!でも石にはかなわないから、グーには負けのアレです。
もう分りましたね。
家づくりの現場では、屋根や外壁、キッチン工事で板金鋏が活躍!
正解は「はさみ」です。
この「鋏」、家づくりの現場でも活躍しています。それは薄い金属板を切る板金鋏(ばんきんばさみ)。

家の外観を思い浮かべてください。まず、屋根。薄い金属板を使った屋根は、瓦屋根に比べ10分の1程度と軽いため、柱や梁といった躯体への負担を軽減。この金属板を切って整えるのが板金鋏です。
外壁でも、耐久性に優れた金属サイディングと使う住宅が増えています。最近は電動工具が主流ですが、そうした現場で使われてきたのが板金鋏です。以前は、雨樋の工事も板金のケースが多く、その工事過程で、板金鋏が活躍していました。

家の中でも!今は工場でつくられた製品を現場で組み立てることが増えましたが、以前は造作キッチンで天板にステンレスを張ったり、シンクをつくったり、換気扇のダクトのはみ出した金属板をカットしたりする、大事な道具でした。
ふだん使っている道具のなかで、こんなに幅広く使われている道具、ほかにないかも!
画像/PIXTA(漢字画像を除く)