TOP よみもの 連載 「錻」読める?昭和の時代は、このバケツやおもちゃをよく目にしました

「錻」読める?昭和の時代は、このバケツやおもちゃをよく目にしました

金と武。そこから推理すると…きんぶ?ぶきん?あっ、金属でできた武器?ではありません。今でもキッチンやパントリーで目にしているかも。昭和の時代は、バケツやおもちゃにも使われていました。
さて、何と読むでしょう?

錻は漢字の本場、中国にはない文字

漢和辞典
この字、漢和辞典で調べると出てきますが、漢字ではありません。そう言われるとえっ?て思う人も多いのではないでしょうか。これは日本でつくられた「国字」です。

この国字の意味は、鉄の板に腐食しにくい錫(スズ)で表面処理した、いわゆる「表面処理鋼板」です。

昔のおもちゃ
表面処理を施していることで、塗装や印刷がしやすく、そのことから、昭和の時代には、ロボットや乗り物などのおもちゃの素材に使われることも多かった素材です。

その歴史は明治から。石油ランプの普及により、大量の廃棄されていた石油の空き缶におもちゃの製造業者が目をつけ、再利用しておもちゃを製造したことに始まります。そして、第一次世界大戦後は、日本の重要な輸出品として、欧米に渡っていきました。

オークション
その後、プラスチックに主役の座を奪われますが、いまでもファンは多く、オークションで高く取引されることも。
人気番組『開運!なんでも鑑定団』にも、しばしば登場します。

今でも缶詰の素材として活躍中!トタンは似ているけどまったくの別物

缶詰

正解は「ブリキ」です。

今でも、缶詰の素材として使われています。

トタンの家
錻と似たもので、昔は屋根や外壁材でよく使われた素材に「トタン」があります。
周りにいる年配の人に聞いてみてください。きっと「子どもの頃、住んでいた家は、トタン屋根だった」という人がいるはずです。

ブリキとトタン、同じような形状をしていますが、こちらは鋼板に亜鉛をメッキしたものです。語源はポルトガル語の「tutanaga」。屋根意外にも外壁、雨どいなどの建築材料として活躍していました。

なぜ、家には錻より、トタンが使われることが多かったか?その理由は、傷ついたあとのタフさにあります。

実はさまざまな実験から、トタン(メッキの亜鉛)のほうが、ブリキ(錫のメッキ)より腐食されやすいということが分かっています。しかし、表面が傷つき水にさらされたときに、亜鉛が溶けて鉄の酸化を防ぎます。ピンチのときに踏ん張る力が、錻と大きく違うのです。

ブリキのバケツ
このようなことから、おもちゃやバケツには錻。屋根や外壁など、傷つきやすい場所には、サビ(腐食)にくい素材として、トタンが使われるようになりました。

カラフルにプリントできるけど、傷ついたら弱い錻。それに比べると地味だけど、きずついても、弱音を吐かずそこから本領を発揮するトタン。どこか、いろいろなタイプがいる人間と、似ているような気がしませんか?

画像/PIXTA(漢字画像を除く)

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書き手:鈴懸

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