最近の新築やキッチンリノベーションでは、キッチンにビルトイン食洗機を組み込む家庭が増えています。これは最近「時短家電」として、食洗機が注目されてきたことが大きな要因です。
食器洗いは単純な作業に見えても、時間と手間が意外とかかってしまいます。食器洗い1回にあたり、約20分程度かかってしまいます。それが食洗機だと、セッティングさえすれば、自動的に洗浄しますし、さらに乾燥までしてくれます。セッティングが5分かかるとしたら、1回あたり15分は時間に余裕ができます。15分あれば、YouTubeの動画1本見てリラックスできてしまいます。
そこで今回は、「いざキッチンをつくる、設計する」となったとき、さまざまなビルトイン食洗機から選ぶときに困らないように、機能や仕様の種類や違いについて解説します。
TOPICS
- ビルトイン食洗機の機能と仕様
- ビルトイン食洗機の選び方
まずは、食洗機を選ぶうえで必要となる機能と仕様の種類や違いについて解説します。
1.ビルトイン食洗機の機能と仕様

ここでは、ビルトイン食洗機のおもな機能と仕様の違いや種類について解説いたします。(サイズと容量/意匠面/オープン仕様/乾燥方法)
サイズと容量
ビルトイン食洗機は、サイズと洗える容量は密接に関係しています。もちろん大きければ大きいほど、たくさんの食器が入れられるので、一度に多くのものを洗うことができます。ただ、欧米の住宅とは違い、日本住宅市場ではキッチンの大きさは限られています。キッチンはもちろん煮炊き・調理をする場所でもありますが、食器や調理器具の洗浄をおこなう場所であり、道具や食器を保管する場所でもあります。
そのため、ビルトイン食洗機が大きすぎると他の機能が低下してしまう恐れがあるので、バランスを考えながらサイズを決めなければいけません。
また、同じサイズのビルトイン食洗機でも、メーカーによって洗える容量に違いがあります。下図をご覧ください。こちらは主な食洗機メーカーの食洗機サイズと洗える点数の違いです。

意匠面
食洗機はどれも同じ見た目かとおもいきや、ビルトイン食洗機は機種によって正面からの見た目が変わってきます。例を挙げると、下記のような違いがあります。
- 扉にフレームが見える/見えない
- 前面に操作盤が見える/見えない

左:フレームあり / 右:フレームなし

左:操作盤がドア天面 / 右:操作盤がドア前面
キッチンの意匠として、食洗機の存在感をなくし、スッキリとした見た目にしたいのであれば、フレームなし/操作盤が見えないものが向いています。また、正面から操作盤が見えない仕様を「フルドアタイプ」といいます。
オープン仕様
ビルトイン食洗機は機種によって、おもに2種類のオープン仕様があります。
- フロントオープン:扉を前に倒し、内かごを前に引き出す前開きタイプ
- スライドオープン:引出しのように、手前に収納ボックスを引出すタイプ

左:フロントオープン / 右:スライドオープン
フロントオープン仕様のものは、どの角度からでも食器が入れやすい構造です。そして、収納容量も同サイズのスライドオープン仕様のものと比べて多く収まります。
一方、スライドオープン仕様のものは、上から食器をいれる構造ので、かがまずに使用できるので足腰がわるい人も使いやすいです。さらに、サイズ・種類が多いので、家族構成や求める機能に合ったビルトイン食洗機を選ぶことができます。
乾燥方法
最近のビルトイン食洗機では食器を洗うだけでなく、乾燥機能も付いているのが一般的です。その乾燥方法にも種類があり、おもに下記の4種です。
- ヒーター乾燥
- 送風乾燥
- 余熱乾燥
- ゼオライト乾燥
文字だけでは分かりづらいので、図解します。下図をご覧ください。

左上:ヒーター乾燥 / 右上:送風乾燥
左下:余熱乾燥 / 右下:ゼオライト乾燥
国産でよく使われている乾燥方法が、ヒーター乾燥と送風乾燥です。一方、環境意識の高い海外で使われる乾燥方法が、余熱乾燥とゼオライト乾燥です。では、それぞれの乾燥方法について説明します。
ヒーター乾燥は、庫内に電気ヒーターを設置し、庫内温度を高めて水分を乾きやすくさせます。機種によってはヒーターと併せてファンを回しながら、温風で乾かすものもあります。
送風乾燥は、電気ヒーターを使わず、風を送り込み庫内の余熱で乾かします。時間はかかりますが、ヒーター乾燥よりは経済的です。
余熱乾燥は、高温のお湯で食器を洗浄し、食器を高温にします。洗浄終了後、高温になった食器から水が蒸発し、庫内壁面に結露させて湿気を取り除きます。こうやって、ヒーターや送風をしないため、ムダに電力を使わない乾燥方法といえます。
ゼオライト乾燥は余熱乾燥にさらにゼオライトを加えた乾燥法です。余熱乾燥で蒸発した湿気がゼオライトに吸水されると、ゼオライトが発熱し、乾いた熱気を発します。これを利用して庫内を乾燥させるのです。
2.ビルトイン食洗機の選び方

ビルトイン食洗機は、上述してきましたように、さまざまな機能と仕様があり、多種多様に分かれています。その中から希望に合ったビルトイン食洗機を選ぶのは難しいですよね。ここでは、施主様からよくある希望を例に挙げて、それに合う食洗機を紹介します。
国産か?輸入か?

上述しましたように、ビルトイン食洗機は、国産のものと、輸入ものと使い勝手や仕様が多少変わります。キッチンサイズにも関わってきますので、まず国産が良いか、それとも輸入ものがいいか決めましょう。
あらためて国産と輸入ものの違いを簡単に言うと、国産のビルトイン食洗機は、やはり「痒い所に手が届く」ような温風乾燥や除菌性能や、細かい配慮が行き届いた機能や仕様がついているものが多いです。
一方、輸入のものは、印象としては「とにかく大容量、そしてエコ」といった印象です。国産ほどの多機能ではありませんが、その分、同じサイズの国産のものと比べると収納量が多いです。また、環境意識も海外の方が高いことから、エコな乾燥方法を採用しています。
国産ビルトイン食洗機から選ぶなら

一般的に、国産のビルトイン食洗機はW450でスライドオープンが主流です。このなかで、さまざまな機能や仕様の違いで多種多様に分かれています。この中から、下記のようなご希望に叶う商品を紹介します。

「とにかく食洗機があればいい」
→コンパクトタイプ

「国産といえど大容量がいい」
→深型タイプ

「キッチンを無駄なく使いたい」
→食洗機下を引出し収納として使えるタイプ

「輸入食洗機のようなフロントオープン」
→国産フロントオープン仕様

「食洗機の存在感をできるだけ消したい」
→国産フルドア仕様
輸入ビルトイン食洗機から選ぶなら

輸入ビルトイン食洗機は、W450とW600の2サイズから選ぶことができます。国産にもW450はありますが、輸入ビルトイン食洗機の方が容量が大きくつくられています。食洗機が大きいとその分、キッチン下の収納力は低下します。そのため、キッチンの大きさに合わせて、収納と食洗機のサイズのバランスをとりましょう。
また、上述しましたように、環境意識が高いことから国産のものと違い、余熱乾燥やゼオライト乾燥といったエコな乾燥方法を採用しています。

「価格をおさえたい」
→W450サイズで余熱乾燥仕様

「しっかりと乾かしたい」
→W600サイズでゼオライト乾燥仕様

「しっかりと乾かしたいし、食洗機の存在感を消したい」
→ゼオライト乾燥でフルドアタイプ
今回は、上記8シリーズ・タイプの食洗機をご紹介しました。このなかには、さらにフレーム/フレームレスやカラーバリエーションで分かれている商品もあります。今回の内容で、少しでも希望の食洗機が選びやすくなったら幸いです。